攻撃が活性化しなかった原因を選手のコメントから検証! 2017Jリーグ 第14節 川崎×横浜FM
いわん太です。
完敗でしたね。
審判がひどすぎたのを差し引いても、今日は相手のブロック崩しに対して、工夫が足りませんでした。
マリノスの戦略としては、結構シンプルだったのになぁ…
今回は新たな試みで、監督&選手の試合後のコメントから、「迫力のなかった試合」について解読したいと思います。
スタメン
ムアントン戦からの変更は、谷口→ノボリとなっています。現在考えられるベストな布陣のように思います。サブには、新井、エドゥ、ノボリ、森谷、狩野、ハイネル、大塚。リョータは、復帰とはならず。怪我の状況が気になります。
①試合前のコメントから見る川崎の試合の進め方
さあ今回は、新たな試みとして、選手の試合前・試合後のコメントから今回の試合について振り返りたいと思います。HPに載っている範囲で読み取れればなと思います。
川崎の試合を振り返るには憲剛のコメントを見るのが手っ取りばやいのは言うまでもありませんが、DF、MF、FWの三選手のコメントを見てみましょう。
車屋紳太郎:試合前コメント(抜粋)
横浜FMの攻撃陣はドリブラーが多く、サイドの1対1で仕掛ける選手が多い。個で打開できる選手がいるので、そこはサイドバックが止めないといけない。マルティノスには去年も苦しめられた。日本人にないドリブルのテンポを持っている。ただ1対1は自信を持っているところ。仕掛けてくるところで自分が勝てば、チームは盛り上がるし、自分自身もリズムがつかめてくる。
中村憲剛:試合前コメント(抜粋)
うちとしてはサイドの選手にどれだけ守備をさせるか、下げさせることができるか、あとは相手のカウンターを減らせるか。自分たちがボールを持って押し込んで、取られていた瞬間すぐに回収することができれば、より勝ちに近づく。
小林悠:試合前コメント(抜粋)
チームとしては良い状態にあるので、その勢いを続けること。それはチームとしてのハードワークがあるので、そこをブラさずに横浜FM戦もハードワークすることはやめてはいけない。学(齋藤学)が出てくるかはわからないが、縦に特徴がある相手なので、そこのコミュニケーションが大事。ボールを持ってタッピー(田坂祐介)が高い位置を取れば、相手も下がらざるを得なくなる。押し込んでハーフコートでやる。
さて3選手から読み取るマリノスのポイントを要約すると、
2.「ハードワークをして、攻守の切り替えを速くする」
ということでした。
まず1点目は、こんな感じです。
サイドバックが高い位置を取ってポゼッションし、ボールを保持し続けるのが憲剛、悠がコメントしている、サイドを押し込むということです。
理由は簡単、マリノスの両翼が高い位置を取っていれば、1対1の状況を作られてしまうためです。高い位置で1対1は、マリノスのストロングポイント。これをまずは消して、相手を押し込もうよといったところが、川崎の共通認識でした。
もう一つの理由としては、当たり前といえば当たり前なのですが、ポゼッションが得意だからです。自分達の形からまずは入ろうよといったところ。
そしてもう一点は、ハードワーク。
これは今季の川崎のキャッチフレーズみたいなものですが、具体的なハードワークのポイントは何かというと、セカンドボールの回収つまり攻守の切り替え(トランジション)です。ムアントン戦あれほど圧倒できたのは、ボールを奪われた後の攻守の切り替え(ネガティブ・トランジション)が抜群によかったのが大きな要因だったと思います。
これを踏まえて試合後のコメントを見てみましょう。
②試合後のコメントから見る川崎の問題点
まずは、コメントから。
中村憲剛:試合後コメント(抜粋)
サイドで高い位置を取った時に、単純にクロスをあげてしまった。もう少し、おっと思うような攻めをしないと。あそこまではボールを運べていた。学(齋藤学)とマルティノスを下げさせるところはできていた。カウンターは何回か食らったが、その回数が少ない中でやられてしまった。そうなると向こうはやることは変わらない。こっちは前がかりにならないといけない。ゲームの構図を変えられなかった。自分たちが先に点をとればゲームを構図を変えられた。相手は真ん中を固めてくるので、外からしっかりと崩せるとよかった。サイドチェンジをして、横を広げて、中を入れる。それをみんながもっと敏感に感じ取ってやれれば。そういう工夫が足りなかった。
小林悠:試合後コメント(抜粋)
全体的に重い感じだった。良くない時のうちというか、前線と後ろの間が空いてしまっていた。ボランチが1枚下がっているので、サイドの2人かアキくん(家長昭博)が段差をつけて間に入らないと前と後ろで分かれてしまっていて、攻撃の迫力をなかなか出せなかった。縦にボールが入る回数も少なくて、受けることはできても取られたら一気に取り残されるというか、カウンターを受けたときに後ろがナラちゃん(奈良竜樹)とショウゴ(谷口彰悟)しかいない状況だった。でも縦に入れないと相手は怖くないし、うちのサッカーにはならない。途中からサイドから攻めていこうかという話も出ていたが、自分としてはもう少し真ん中からいかないと相手にとって怖さがないと思う。真ん中に集めておいてサイドならいいと思うが、真ん中から崩す努力をもう少ししなければいけなかった。最初からクロスだと相手は高さがあるので難しい。あとは全体的にパスを出して止まっていることが多かった。うまくドリブルを使うとか、もっと動きながらプレーしないと。うちのリズムが出なかった印象。ここまでハードな連戦をやってきて、この試合も勝って締めくくりたかったが、なかなか気持ちのいい終わり方ができなかった。すごく悔しいし、帰ってまた試合の映像を観てまた落ち込むと思う。でもオニさん(鬼木監督)も話していたが、しっかり連戦を戦ってきた経験はチームの力になっていると思うし、今日の負けは悔しいが一度しっかり休んで、また前を向いていい顔で戻ってこられるようにしたい。
車屋紳太郎:試合後コメント(抜粋)
ボールは前半から持てていたが、怖いプレーがなかった。ただボールを回しているだけだった。GKとDFの間に味方が入ってくるという感じでもなかった。タツヤ(長谷川竜也)一人のときもあった。もう少し、お互いが意思を合わせてどういうボールが必要なのか。センターバックが強い選手がいるので、オフサイドだったが、ノボリくん(登里享平)がアシストしたような、低くて速いボールをもっと入れていかないといけない。サイドでスピードアップができなかった。ノボリくんのようなアクセントが効いていたし、そういうプレーを増やさないといけない。
鬼木監督:試合後コメント(抜粋)
他の何試合かを見ていても、3枚の相手とやると苦しんでいるという事は分かっていました。ただ、我々も自分達の形を推し進めたいというところもあって、今回の布陣で行きました。試合を進めている間に、両サイドの高い位置をとってスピードある選手で仕掛けた方が有効かなとは思ったのですが、ハイネルのところも少し中に入ってきてしまっていて、伝えてはいたのですがそこらへんが上手く機能させられなかったのが、自分の責任だと思っています。
このコメントから見るポイントは、
1.前線と後ろの分断
2.鬼木さんの3バックの意図
3.中央突破とサイドアタックの関係性
かと思います。
1.前線と後ろの分断
まずは、悠の話す前線と後ろの分断というのはどういうことか。それは先ほどの図をみれば一目瞭然です。
こんな感じで、後ろ(縦パス)と前線(受ける側)に分断してしまっているといったことをいっているのだと考えます。
具体的に何が問題かと言うと、トップ下の家長のポジショニングの曖昧さです。
この試合家長は、結構バイタルまで入っていくことが多く、適切なポジションを取ることができていませんでした。実際は、この図のように三角形すら作れていない時間も多々ありました。
この状態だとどのようなことが起きるのかというと、ネットやCBが無理矢理バイタルに入れて、待ってましたといわんばかりにボールを奪われるパターンです。この試合もいくつもありましたが、試合前のポイントに挙げていた攻守の切り替えの意識が高かったため、カウンターを受けることはある程度防げていたのかなと思います。
それでは、どういうすればいつもの川崎らいしポゼッションが復活するのか。
それは磐田戦で見せた、ネットを底辺とした逆三角形を作ることだと考えます。
ご参考に。
逆三角形を作るメリットは、中盤で斜めのパスが出しやすくスピードが上がることと、前線との距離が近くなりコンビネーションが生まれやすくなることです。
憲剛とネットが、横の関係だったことも前線と後ろが分断してしまった要因なのかなと考えます。ただし、このトップ下の絶妙なポジショニングは、憲剛しかできない気もするので、どうしたものか…やはりリョータの帰りを待つしかないのか、家長がこの動きを身に着けるのか。はたまた、狩野がボランチを務めるのか…注目です。
2.鬼木さんの3バックの意図
この状態が続くと、3バックにシステムチェンジしてサイドアタックでリズムを作りたくなるのはよくわかります。中央はがっちり固められ、縦パスを入れても跳ね返させる。そうすると中央圧縮の4-4-2の脇のスペースに活路を見出すのは、仕方ないのかもしれません。
ただし、鬼木さんのコメントにもあるように、ハイネルが中央に入りボールを受けたがる傾向あるため、家長、阿部が右サイドにポジションチェンジしていまっていて意図通りの攻撃とはなりませんでした。ノボリ側は多少サイド攻略の糸口が見えましたが、右サイドが機能したのは、オフサイドの判定になってしまった場面くらいでした。
3.中央突破とサイドアタックの関係性
とは言っても悠の言う通り、中央突破を仕掛けていなければ川崎のサッカーに怖さがなくなるのは、今季の序盤で証明済み。恐らく、中盤の逆三角形を作り出せていれば問題なかったのですが、そうでない状況ではどうすればよかったのか。
やっぱ目線を変える斜めのパスが出始めないとこの低いラインは崩せないかと。
— いわん太 (@avante_iwanta) 2017年6月4日
果たして引き付けてズドンができるのか注目です。
それは、サイドチェンジをして揺さぶることとアイソレーションしているサイドバック、ウイングバックの有効活用し、ディフェンスラインを広げることです。
特にサイドアタッカーに1on1の状態を作りだせなかったのが敗因なのかなと思います。いつもなら、意図的にサイドチェンジを織り交ぜる憲剛でしたが、この試合サイドチェンジが皆無だった理由はなんだったのか…いずれにしてもチームとしての意識の統一がなかったようにも思えますし、今後の課題なのかなと考えます。
③まとめ
今回は、選手のコメントから読み解いて解説してみましたが、試合前意識していたことはある程度できたが、中盤の逆三角形を作り出せなかったのが敗因なのかなと思いました。特に家長の動きは、まだまだフィットしているとはいえず、改善の余地が多々あります。ここに関しては、川崎のサッカーそのものと言える部分かと思います。
そして今のメンバーで、サイドアタックをベースとする攻撃をするなら、しっかりアイソレーションを意識した攻撃をチーム全員で共有する。これが、今後の課題になるのかと思います。
これから代表期間で、休息できますので、しっかりリフレッシュして、次節広島戦に臨んでほしいと思います!!
採点
1.ソンリョン 5.5
2.奈良 5.0
5.谷口 5.5
6.田坂 5.5 (▼54’)
7.車屋 6.0
21.ネット 5.5
14.憲剛 5.5
41.家長 4.5
家長は自分の良さを出すことに集中した方がいいと思う。持ち前のキープ力、高精度キックが生きるのはやはり最前線かと。ただし、阿部ちゃんの例もあるので、今後に期待。
16.長谷川 5.0(▼54’)
11.小林 5.5
8.阿部 5.5(▼81’)
2.ノボリ 6.0(△54’)
22.ハイネル 4.5(△54)
おしいシュートがあったものの、戦術理解度が低いのがネック。やっぱ適正は1トップのようなきがするんだけどなあ
25.狩野 採点なし(△81’)
鬼木監督 5.0
3バックに移行するなら、狩野を入れて憲剛を上げるのが先だった気がします。まあ、家長を使いたかったのはわかるけど…久々に交代のタイミングの見誤ったのかなと思います。結果論ですけどね、こればっかりは。
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審判最悪!!
— いわん太 (@avante_iwanta) 2017年6月4日
…というのは簡単だけど、今日は内容が悪かった。
相手を疲れさせる=相手の嫌がる攻撃ができなかった前半が全てかなと思います。
家長が、このポジションレスサッカーを理解できればなぁ…